北海道中小企業みらい研究所
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譲渡制限株式とは、株式の譲渡による取得の際に、その株式会社の承認を得ることを要する株式のことをいいます。種類株式発行会社が種類株式ごとに定めることのほか、単一株式発行会社が全部の株式の内容として定めることもできます。これら譲渡制限株式を発行している会社を株式譲渡制限会社といいます。
本来、株式会社の株式は、原則として自由に売買することができます。つまり、株式の価格に相当する金銭を支払えば、誰でも株主となることができ、会社の経営について権利を有することができます。たとえば、株主には取締役に対して一定の事項を株主総会の目的とすることを請求できる議題提出権や、株主総会の目的である事項について、株主総会に出席して議案を提出できる議案提出権が与えられています。そもそも株主総会は株主のためのものですから、株式を有する株主は会社の経営に対して意見を述べる権利があります。
会社をはじめるうちは、家族や親戚、友人等が株主になるかもしれませんが、前述のとおり株式は原則として自由に譲渡することができますから、その最初に株主となった親戚や友人が、経営者の知らないところで株式を他人に売買してしまうかもしれません。株主には株主総会に参加したり、経営に意見を述べたりする権利が与えられていますから、株式を譲渡制限にしておかないと、経営者の全く知らない株主たちによって経営上の重要な権利が第三者の手に渡ってしまい、会社が乗っ取られてしまう、という可能性があります。
そのような不測の事態を防ぐために、株式を譲渡制限株式とすることができます。比較的小規模の会社であれば、ほとんどの会社がこの株式譲渡制限会社を選択しています。
すべての株式を譲渡制限株式とする会社のことを、非公開会社または全株式譲渡制限会社といいます。非公開会社は取締役会を設ける必要がなく、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権について株主ごとに異なる取り扱いをすることのできる株主権の属人的定めの設定が可能となります。また、譲渡制限会社にすると、取締役の任期を最長10年まで延長することができますので、登記の変更の申請を頻繁にしなくてもすみます。
株式譲渡制限会社にするには、定款で、当該株式の譲渡による取得について当該株式会社の承認を要する旨を規定します。株式の譲渡による取得につき「会社の」承認を要する旨を定めれば足りますので、具体的な承認をする機関まで定める必要はありませんが、定めなかった場合には、株主総会または取締役会の決議により承認がなされることになります。
たとえば、「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を受けなければならない。」と定めます。そのうえで、「前項の承認の可否は、株主総会(または取締役会)の決議を持って決定する。」などと定めることができます。