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個人事業開業・経営相談

個人事業と法人の違い

 個人事業とは株式会社のように法人格を持たず、経営者個人が無限に責任を負う事業所のことをいいます。

 個人として経営するときと、法人として経営するときとでは主に以下の点が異なります。

個人事業 株式会社
創業手続き 行政機関への届出のみ 定款の認証・登記が必要(24万円~)
意思決定 経営者の自由 取締役会・株主総会が必要なこともあり
社会的信用力 低い(店舗の場合は問題ないことも) 比較的高い
資金調達先 家族や親族、友人からが多い 株式を発行でき広範囲から調達可能
銀行からの融資 比較的難しい 資本金が多ければ比較的容易
弁済の責任 無限責任(個人の全財産で弁済) 有限責任(ただし融資保証の場合あり)
従業員の募集 比較的難しいが賃金は安い 容易だが優秀な人材は賃金も高い
社会保険 任意加入(強制適用事業もあり) 強制加入(個人より負担減のこともあり)
会計・経理 簡易 複式簿記が義務で煩雑
税率 超累進税率 比例税率で節税効果あり
住民税 事業所にはかからない 会社が赤字でも法人住民税がかかる
給与所得控除 なし。利益は事業所得となる あり。役員報酬は給与所得で控除できる
欠損金の繰越 3年間繰り越しが可能 7年間繰り越しが可能
交際費 遺言か相続時に遺産分割協議 生前に事業承継が可能
事業承継 比較的難しい 資本が多ければ比較的容易
退職金 経営者・専従者は経費扱い不可 損金算入可能・税金軽減・節税対策可能

 まず、開業・創業時にかかる経費が大きく異なります。法人の場合は、創業後変更があった場合にも、その都度登記を申請しなければならず、経費がかかります。もっとも、登記によって公示されているからこそ、対外的な信用力があるといえます。

 お金については、個人事業であれば自由に銀行から引き出したり使用したりすることができますが、法人の場合には、個人のお金と会社のお金が明確に区分され、社長が出資したお金であっても勝手に使い込むことは許されていません。また、会社の場合、帳簿も複雑になりますし、税務調査も入りやすくなります。

 対外的信用力については、個人事業でも喫茶店や花屋など1店舗しか経営していない小さなお店であればお客様に対する信用という点ではあまり問題ないかもしれませんが、取引先の企業との関係においては、特に決済の時期や手段において困難なこともあります。

 また、給与所得控除など節税の効果もありますので、法人化することができれば、創業のうちから株式会社などの法人を設立する途を選択したほうが良い結果となる場合が少なくありません。