北海道中小企業みらい研究所
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「顧客満足」あるいは「顧客満足度」とは、お客様の期待に応じたモノやサービスを提供し、お客様に満足していただけるような会社やお店づくりのプランやコンセプトなどの取り組みのことをいいます。英語のCustomer(顧客) Satisfaction(満足)をそのまま日本語訳したもので、CSとも呼ばれます。
どんな会社やお店であっても、お客様があってはじめて事業として成り立つのであり、お客様を満足させることができない事業、お客様の視点に立った経営をできない事業は、持続可能な事業とはいえません。
「顧客満足」つまり「お客様を満足させること」についての明確な定義はありませんが、弊社ではお客様の期待に応じること、つまりお客様が期待または予想しているようなモノやサービスを提供することにとどまらず、お客様の期待以上、予想以上に満足できるようなモノやサービスを提供できることと考えております。
たとえば、あるお客様が花を買いに行ったとしましょう。お客様はただ漠然と赤い生花を購入したいと思っていました。花屋としては「赤い花をください」と言われれば、店内にある赤い花をいくつか紹介するだけで「花屋の仕事」としては足ります。しかし、よほど無愛想なお店でもない限り、何に使うのかを尋ねてみたり、花の名前くらいは説明するでしょう。ここまでは、お客様も期待または予想しているものですが、それ以上のサービスを提供してみたらいかがでしょうか。
生花はたいてい人に贈るために購入するものですから、お客様ご自身が、またはお客様の代わりに達筆な店員がメッセージカードにメッセージを書き込めるようなサービスをしたり、花言葉を記入したカードを添付すれば喜ばれるかもしれません。また、お祝い用やお見舞い用などに特別なサービスを提供することも考えられるでしょう。さらに、何かモノを提供しなくても、お茶を飲みながら花の写真集や事典をみてゆっくり選べるスペースを提供したり、雨の日には代わりに傘をさしてお客様の車までお送りするなどのサービスもお客様の期待以上に応えるものであり、顧客満足に繋がるものです。お客様とメールでやり取りできる情報であったとしても、あえて電話をする、できれば自宅に訪問するなどの配慮も顧客満足度に繋がるでしょう。
中小企業経営者の多くは、「景気が悪い」ことを会社の業績の伸び悩み、売り上げの減少の理由にしますが、自分がお客様として来社、来店した場合に、どのような付加価値としてのサービスが提供されれば期待以上に感激するか、感動するか、というアイデアを常に考え、実行に移すことができれば、同業他社との差別化をすることができ、景気が悪くても業績を伸ばすことは十分に可能でしょう。そもそも、景気が悪いから不要になる業種というものはほとんどないものです。
弊社は東京にはじまり、全国の様々な地方・地域の会社やお店を拝見してきましたが、こと北海道に関して言えば、「北海道は景色は一流だが、マナーやサービスは二流、三流」と言わざるを得ません。本州以南から移住してきた人であれば、これに同意しない人はいないでしょう。期待以上の満足どころか、当然期待されるべきサービスが提供されないため、北海道では一流とされる優良企業であっても、その対応に不快を感じるケースが少なくありません。
それゆえ、まずは基本的な期待に応えられるようなサービスを提供することに努めるべきです。電話の応対や来客に対して丁寧な言葉遣いを心がけること、特にお店の場合には来客に対して自然な笑顔を見せることなどは、コストも時間もかけずに実行することができます。その上で、本来の「顧客満足度」の向上を検討すべきです。
一人のお客様を満足させることは、チラシ1枚、広告1枠よりもはるかに効果があるものです。「ウチは花屋だから花を売っていればよい」ではなく。お客様を感動させることができるような花の売り方を提供することができれば、インターネット全盛期の現代においてクチコミは瞬く間に全国に広がり、思わぬ反響を生み出すことができるのです。
「どういう売り方をするか」を最初に考えるのではなく、お客様の視点から「どうしたら買ってもらえるだろうか」「どうしたら買いたくなるだろうか」を真剣に考えるとき、難しい経営学やマーケティングの概念を勉強していなくても、みなさんの頭の中に皆さんのオリジナルの顧客満足という概念が自然に生まれることでしょう。
日本では「お客様は神様」との概念がありますから、客側としては非常に気持ち良くサービスの提供を受けることができています。海外旅行に行ったことがある人であれば、お客様に対する接し方について大きな差があることをご存じでしょう。海外でもホテルやペンション、鉄道などの公共交通、観光案内所などの観光に関連する分野において、外国人観光客を受け入れる体制が整っている国としては、弊社の経験上スイスや南アフリカなどを挙げることができますが、それでも日本の「おもてなし」は諸外国に比較してレベルの高いものということができます。
しかしながら、近年は消費者も様変わりしてきました。そのひとつとして「モンスター」の登場にあります。いわゆるモンスター・ペアレンツにはじまり、モンスター・クライアントやモンスター・クレーマーというべき人が劇的に増加しています。
クレーマーといえば昔は、商品の返品や交換、返金を強く要求する、慰謝料を要求するというタイプが多かったのですが、近年のモンスター・クライアントやモンスター・クレーマーは、会社やお店に対して無理難題を要求するほか、その企業の信頼を損なう虚偽の情報を流布して自己満足を得るというタイプが増えています。
彼らの多くは自らの抑圧された環境に対する不満を、企業に向けてストレスを発散させることを目的としており、クレーマーの標的とされた企業は単にお金を支払って「誠意を示す」だけでは対応できなくなってきました。
2つ目として、個人の趣味や趣向の多様化が挙げられます。ライフスタイルも人生の価値観も多様化したことにより、お客様すべての満足を追求することはもはや困難になってきており、「お客様は神様」のような概念は、会社に余計な負担をかけ経営効率を低下させるだけでなく、従業員の離職率の悪化を招き、結果として会社の業績を悪化させるものです。
このような背景から、弊社では、従来の顧客満足第一主義ではなく、会社やお店にとっていちばん大切なものは、まず従業員とその家族であり、その次に、自分たちの仕事を手伝ってくれる取引先であり、そしてお客様であると考えております。