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介護保険事業設立

介護保険制度とは

 現代では先進国の多くが高齢化社会になっていますが、日本は他の先進国に例をみない速度で高齢化が進んでいます平成22年における65歳以上の高齢者人口は、2,941万人で、総人口に占める割合を示す高齢化率は23,1%となっています。地方ではさらに高齢化が進んでおり、旭川市の高齢化率は平成22年3月で25,3%に達しています。また、町村部ではすでに30%を超えているところも少なくありません。一方で少子化の傾向も改善されておらず、このまま高齢化と少子化が同時に進むと、現在5人に1人の高齢者の割合が、2055年には2,5人に1人が高齢者となる社会が到来すると試算されています。平均寿命も医学の進歩によって延びてきており、高齢者の割合が今後も急激に増えることが予想されます。

 このような「超高齢社会」の到来にあたって、介護を必要とする高齢者も増えており、また、介護をする人の高齢化も進んでいます。高齢者を支える現役世代の所得や年金財政も不安定であり、さらに晩婚化や離婚の増加、夫婦共働きの増加によって、年老いた両親を介護することがますます困難な状況になってきています。このように、もはや家族だけで介護をすることは時間的にも経済的にも難しくなってきています。そこで、家族だけの負担ではなく、社会全体で支え、誰もが安心して住み慣れた地域で健やかな老後を過ごすことができるよう、平成12年4月から「介護保険制度」がはじまりました。

 介護保険は、40歳以上の市民(被保険者)が納める保険料と国、都道府県、市町村からの公費(税金)で運営されています。40歳から64歳までの人の介護保険料は、各医療保険の算定方法に基づき定められ、医療保険の保険料と合わせて支払います。65歳以上の人の介護保険料は、年金から天引きされる支払い(特別徴収)と口座振替または納付書による支払い(普通徴収)があります。保険料は市町村ごとによって大きく異なり、旭川市の65歳以上の人の保険料額は、基準額の人で年55,800円ですが、生活保護の方などは年27,900円から、所得が400万円以上ある方は年97,600円など、所得や世帯に応じて9段階に分かれています。

 介護サービスを利用するためには、介護サービスが必要であるかどうか、また、どんなサービスを必要とする状態であるのか、要介護認定を申請する必要があります。要介護認定では、介護の必要性及び介護の状態の区分を判定し、その要介護状態の区分により、受けることのできる居宅サービスの額や、施設に入所した場合のサービスの額、また月々の利用限度額などが決定されます。要介護認定には、要介護1から5までの等級の認定があるほか、現在では介護は必要とされていないが将来要介護状態になるのを防ぐために要支援1~2の等級が別途あります。ただし、要支援1~2に該当する人は、介護保険を利用しての施設サービスを利用することができません。

 居宅サービスについて、要介護度に応じて利用できるサービスの限度額は下記のとおりです。要介護度ごとに決められた下記の金額の範囲内で介護サービスを利用すると、利用者の自己負担は1割です。なお、利用限度額を超えてサービスを利用した場合は、その超えた分が全額自己負担になります。

区分 居宅サービスの利用限度額(1か月) 自己負担額(1割)
要介護1 165,800円 16,580円
要介護2 194,800円 19,480円
要介護3 267,500円 26,750円
要介護4 306,000円 30,600円
要介護5 358,300円 35,830円

 上記の限度額が適用になるサービスは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)、短期入所生活介護・療養介護(ショートステイ)、福祉用具貸与、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)です。福祉用具の購入は、毎年4月から1年ごとに対象額10万円(支給額は9万円)、住宅改修は、期間を設定せず、要介護等認定者1人につき対象額20万円(支給額は18万円)の限度額が設定されています。小規模多機能型居宅介護については、1か所の事業所しか利用できませんが、それ以外のサービスは複数の事業所のサービスを組み合わせて利用することも可能です。

 要支援1及び要支援2に該当する人のサービス利用限度額は下記のとおりです。

区分 介護予防サービスの利用限度額(1か月) 自己負担額(1割)
要支援1 49,700円 4,970円
要支援2 104,000円 10,400円

 上記の限度額が適用になるサービスは、介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所介護(デイサービス)、介護予防通所リハビリテーション(デイケア)、介護予防短期入所生活介護・療養介護(ショートステイ)、介護予防福祉用具貸与、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)です。介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防小規模多機能型居宅介護はそれぞれ1か所の事業所しか利用できません。

 介護保険事業を行う場合には、上記の利用限度額の範囲内でサービスの提供の種類や回数、価格を決定します。なお、利用限度額を超えたサービスや、買い物代行や除雪などの介護保険制度の適用外のサービスは利用者の全額自己負担となりますが、高齢者のニーズとしては多いため、これら介護保険適用外のサービスを積極的に事業化していく方法も考えられます。特に介護保険事業は国の政策によって一定期間ごとに報酬や利用限度額が改正されますし、医療や介護の財政は非常に厳しい状態にありますのでこれからの改正でも減額されたり、要介護度の低い人の利用が制限される可能性が高く、介護保険制度のみに頼らない経営がこれからの事業者に求められてきます。