北海道中小企業みらい研究所
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近年、食に対する安全が話題になっている中で、農業の経験のない方が、新規に農業をはじめるケースが増えています。
農林水産省によると、平成21年の新規就農者は6万6820人となり、前年に比べて6820人(11.4%)増えました。
年齢別では39歳以下が4.2%、40〜59歳が2.5%、60歳以上が20.8%と、すべての年代で増加し、とりわけ高齢者の増加が目立ちます。東京など都会で定年を迎えた方が、地方で農業をはじめるという例も多く見受けられます。
就農形態別に見ると、農家世帯員で学生や雇用労働者から自営農業への従事になった「新規自営農業就農者」は5万7400人(うち新規学卒1770人)で
15.6%増加しました。
一方、法人などに常雇いされた「新規雇用就農者」は7570人で約1割減少しました。その中で新規学卒就農者だけは1670人で3割増加しました。新規雇用就農者数を出身別に見ると、非農家出身が8割、農家出身は2割となっています。
また土地や資金を独自に調達して農業経営を開始した新規参入者も約6%減りました。しかし年齢別では、39歳以下が620人で約7%増加しており、若年層にもまだまだ就農の意欲がある方が多いといえます。
なお新規就農者数は平成18年が約8万人であり、翌年からは減少していましたが、平成21年は増加に転じました。
新規就農者とりわけ若年層の農業起業者が増えることは、国の食料自給率の向上、雇用の創出、地域経済の発展、安全な食物の提供など、まさにいいことづくめです。
また、就農者にとっても、地域住民と密着して活動する農業は、子育てをする若い世代や人付き合いの少なかった高齢者にとって非常に有益ですし、多少の労苦が伴うものの、身体的にも精神的にも健全性を保つのに役立つことでしょう。
国や地方自治体も、新しく農業に始める方に対して、様々な補助事業や支援施策を提供しています。これから農業をはじめたい、と考えている方についてはまさに追い風の状況となっています。
「農家」のかたちも昔とは様変わりしました。
現在では、「農業は6次産業」といわれています。従来の1次産業としての見方だけでなく、2次産業、3次産業すべてを組み合わせた農家が発展を遂げています。
単に農作物を育てて出荷する、家畜を飼育して出荷する、にとどまらず、農産物を加工して高付加価値を付けて農協に頼らず自らの流通経路で販売するところが増えています。みなさんもジャムやチーズなどの加工品を販売しているお店をご覧になったことがおありでしょう。また、農地を農家が働く場としてとらえるのではなく、農地に直接お客様を呼び込むファームインレストランや体験型農場も増えています。
このようなことから、農業はこれからもっとも楽しく発展する産業のひとつであるといえるでしょう。