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会社やお店をはじめる前の準備

経営理念を策定する

 経営理念とは、事業を行うにあたっての経営者の思いや姿勢を成文化したものです。簡単にいえば、「会社は何のための存在するのか、どのような会社を目指すのか」などという会社としての意義を文章化したものということができます。

 Where there's a will,there's a way.(意志ある所に道あり、精神一到何事か成らざらん)という言葉がありますが、しっかりとした経営理念を持っていれば、たとえ会社やお店の経営環境が大きく変化したとしても全社一丸となって乗り越えることができるのです。

 経営理念の策定に法的な義務はありませんが、業績が伸びている会社、経営陣と従業員が一体となって成長している元気な会社のほとんどは、経営理念を策定し、かつ、従業員や株主などのステークホルダーに浸透させています。特に従業員が経営理念に基づいて行動することは会社やお店の成長に直結するものと考えてよいでしょう。

 働くことの意味は第一義的には生活の糧を得るためにあるとしても、それだけの動機では従業員や取引先、お客様を幸せにすることはできません。ただ決められた時間に出勤して退社する、というサイクル以上に、この会社を通して自分も家族も周囲の人も幸せになりたい、という強い動機がなければ、働くことは楽しいこと、意義のあることとは思えませんし、会社や経営者、従業員に対しての不満が募るばかりです。

 会社では特に経営者と従業員との間の信頼関係が重要です。両者の信頼関係が貧弱だと経営基盤自体も貧弱なものとなってしまいます。しかしながら現実にはこの信頼関係が構築されていない中小企業が少なくありません。日本は昔から同族企業、家族企業が多かったこともあり、経営陣は会社を利用して私腹を肥やすことに専念し、従業員の環境は軽視されてきました。こうした会社を私物化する経営者が所有する会社のほとんどは、従業員が離れたり顧客が離れたりしていずれ経営自体が立ち行かなくなるものです。

 そのような事態を防ぐためにも、経営理念を策定し、文書化し、社内の隅々にまで浸透させることが重要となってくるのです。とりわけ会社は公的な存在であり、個人の利益追求の手段ではないため、経営理念には会社を社会でどのように役立たせたいのか、社会においての会社のあるべき役割や立場といったものを文章化したらいいでしょう。そしてそれは従業員すべてに賛同の得られる、理解されやすい表現のものでなければなりません。従業員は経営理念を見るたびに、自らの働く意義を再確認するからです。

 経営理念を会社全体に浸透させるということは、従業員も含めた全員参加型の経営を促すことになります。総務も人事も営業も、すべて目標とするものは同じという一体感を共有することができれば会社の業績も自然とよくなるものです。