北海道中小企業みらい研究所
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「キャリア」とは英語でCareerと表記しますが、経歴や生涯を表し、特に職業上キャリアという場合には、一生の仕事としての、特に専門的な職業のことを指します。「キャリアパス」とは、キャリアを積む道(Pass)のことであり、中長期的な職務の道や展望のことを指します。キャリアパスを策定し、全従業員に周知することにより、自分がどのようなスキルや経験を積めば次のポストに進めるのかが明らかになり、従業員のスキルアップや仕事に対するモチベーションの向上に寄与するものとなります。つまり、自分がなぜ、どのような目的で、どのような目標を持ち働いているのか(働くべきであるのか)といったことを従業員自身が自覚することができるのです。以上のことからキャリアパスの目的は、「就労目的の明確化」にあるとされています。
就労目的が明確化されれば従業員の定着率は高まり、はじめから高度な専門性を有する人材を雇用することが困難な中小企業においても、優秀な従業員を自社で育てることができ、結果として経営の安定化を図ることができます。
どの会社にもある程度の昇給や昇進の基準はありますが、キャリアパスの大きな特徴は、従来の会社側の一方的な評価基準ではなく、従業員側の視点で考慮されるもの、という点にあります。従業員がキャリアアップつまり次のポストへの昇進の基準を理解することにより、会社内においての自らの成長の道筋を持つことができ、より高度な専門性のある仕事に取り組む意欲を引き出すことができます。そのために、経営者と同じ基準で従業員自身にも自己評価してもらう、という取り組みは大変有効なものです。
通常、中小企業のような比較的小規模の事業所の場合、経営者と管理職のほかは一般従業員という区分しかないことが多いですが、キャリアパスでは一般従業員も各自の能力や、価値観、動機、特性に応じて役割と責任を分担させることにより、どの従業員にもポストを設定します。そして、経験年数や資格取得、研修参加、営業成績などある一定の基準を満たすようになったときには、次のポストを用意します。このようにして役職や役割を細分化し、ステップアップできる仕組みを作り、従業員の仕事に対するやる気を引き出すというものです。
具体的には、主任になるには何が期待されているか、課長や部長になるためにはどのような経験や資格が必要なのかといったキャリアアップのしくみを整備した上で全従業員に周知し、さらに長期的な視点で人生における仕事の道筋となるものをキャリアパスとして策定します。
パートタイム従業員についても、キャリアパスに準じたものを策定することにより、より優秀な従業員を育てることができるようになります。パートタイム従業員やアルバイト従業員の場合には、キャリアアップとしての役職に代えて、時間給の昇給の基準を策定してもよいでしょう。
パートタイム従業員やアルバイト従業員も目標を見据えて就労することができるようになれば、「所詮パートだからいくらがんばっても正社員のような評価は得られない」という不満も解消され、正社員と同等またはそれ以上の優秀な従業員を生み出すこともできるでしょう。
キャリアパスの策定には相当の時間がかかりますが、それを補って余りあるほどの効果が期待できるはずです。
弊社が一貫してご説明していますように、会社にとっていちばんの財産は従業員です。いちばん大切に守るべきなのも従業員です。従業員を単なる「人材」として見るのではなく、「人財」と見ることにより、従業員も経営者も生き生きと仕事をすることができ、それを見るお客様も「元気な会社」として自然に応援したくなるものです。