北海道中小企業みらい研究所
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前述のように自社株式相続や生前贈与には遺留分減殺請求の問題が生じるため、この民法上の問題を解決するために、平成20年10月に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)が施行されました。
経営承継円滑化法は、遺留分による制約、事業承継の際の資金調達の困難性、相続税の負担という3つの問題の解決を図るための対応策を用意しています。
遺留分による制約については、経営承継円滑化法では遺留分に関する民法の特例を設け、推定相続人の全員の書面による合意をもって下記の事項を定めることができるとされています。
(1) 除外合意 事業承継者が先代経営者から生前に取得する自社株式の全部または一部の価額を、遺留分算定の基礎となる財産の価額に含めないとすること。
(2) 固定合意 事業承継者が先代経営者から生前に取得する自社株式の全部または一部についての遺留分算定の基礎となる財産の価額を、その合意の時における価額とすること。ただし、その価額は、単に推定相続人間で合意しただけでは足りず、弁護士、公認会計士または税理士が、その価額が合意のときにおける相当な価額として証明をしたものでなければなりません。
この特例を提供するには、推定相続人間で書面で合意しただけでは効力がなく、経済産業大臣の確認及び家庭裁判所の許可をもってはじめて効力が生じます。
後継者は、推定相続人全員の除外合意や固定合意がなされたときから1か月以内に、経済産業大臣に書面をもって確認の申請をしなければなりません。
そして、経済産業大臣の確認を受けた後継者は、その確認を受けた日から1か月以内に、さらに家庭裁判所の許可を受けなければなりません。この家庭裁判所の許可の審判が確定してはじめて民法の特例の適用を受けることができます。